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短編の時間
2008年2月28日木曜日
32 池の鯉
その人は、深夜、歩いていた。零下になるこの時間を薄い服装でいた。寒そうな風でもなく、淡々と歩いている。ある大きな公園にたどり着く。奥へ奥へと進んでいく。小さな池の前で立ち止まる。そのまま動かない。置物の銅像かのように身体の動きを止めている。辺りに動くものはない。突如、池の鯉が水面を飛び跳ねた。その人が動きだした。池の中にゆっくりゆっくりと、入っていく。水音がしない。完全にその人の姿は、水の中に入った。鏡のように静かな池の表面にその人が姿を現すことはなかった。
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