2008年2月28日木曜日

15 黄色い椅子

ある冬の晴れた日のことである。
男が、だれもいない寂しい海辺を歩いていた。
突然、男の目の前に椅子が落ちてきた。
黄色いダイニングチェアーである。
男は、驚きのあまり、飛びのいた。
空を仰ぎ見る。
なにもない。
何もないところから、椅子が落ちてきた。
男は、首をかしげる。
なにもないところから、椅子。
椅子に近づき、触ってみる。
普通の椅子である。
また、空を見る。
やはり、何もない。
誰もいない。
飛行機もいない。
なのに、椅子が落ちてきた。
まわりの見渡すがだれもいない。
遠くまで見渡せるが、だれもいない。
男は、また、首をかしげる。
何がおきた?
男は、その椅子に座ってみた。
以外にすわり心地がいい。
急に意識が薄れていく。
朦朧としていく意識の中に、ある女性が現れた。
椅子を返してくれといっている。
椅子を空に向けて、投げてくれればいい、といっていた。
意識が、はっきりとしてきた。
男は、椅子から立ち上がり、いま聞いたとおり、椅子を持ち上げ、空に向けて、投げた。
椅子が男の手から離れたとたんに、椅子は、ものすごい勢いで、空に飛んでいった。
あっという間に椅子は、見えなくなった。
突然、強い睡魔が襲ってきた。
男は、倒れこむように、その場に、横になり、眠りに落ちていった。
男が、目覚めたのは、辺りが暗くなり始めた頃だった。
「あぁ、寝すぎちゃった」
起き上がると、足早に、海を後にした。
男は、何も記憶していなかった。

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