ある冬の晴れた日のことである。
男が、だれもいない寂しい海辺を歩いていた。
突然、男の目の前に椅子が落ちてきた。
黄色いダイニングチェアーである。
男は、驚きのあまり、飛びのいた。
空を仰ぎ見る。
なにもない。
何もないところから、椅子が落ちてきた。
男は、首をかしげる。
なにもないところから、椅子。
椅子に近づき、触ってみる。
普通の椅子である。
また、空を見る。
やはり、何もない。
誰もいない。
飛行機もいない。
なのに、椅子が落ちてきた。
まわりの見渡すがだれもいない。
遠くまで見渡せるが、だれもいない。
男は、また、首をかしげる。
何がおきた?
男は、その椅子に座ってみた。
以外にすわり心地がいい。
急に意識が薄れていく。
朦朧としていく意識の中に、ある女性が現れた。
椅子を返してくれといっている。
椅子を空に向けて、投げてくれればいい、といっていた。
意識が、はっきりとしてきた。
男は、椅子から立ち上がり、いま聞いたとおり、椅子を持ち上げ、空に向けて、投げた。
椅子が男の手から離れたとたんに、椅子は、ものすごい勢いで、空に飛んでいった。
あっという間に椅子は、見えなくなった。
突然、強い睡魔が襲ってきた。
男は、倒れこむように、その場に、横になり、眠りに落ちていった。
男が、目覚めたのは、辺りが暗くなり始めた頃だった。
「あぁ、寝すぎちゃった」
起き上がると、足早に、海を後にした。
男は、何も記憶していなかった。
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