2008年2月28日木曜日

28 欠損

その人は悲しみのなかにいました。いくつものいくつものかなしみのなかに。左手で、左胸をなんどもなんども叩きながら、涙を零れ落としながら、身体の奥底にひたかくしにしていたものを搾り出すように、言いつづけました。「ここがないんだ!ここが!ここがないんだ!」なんどもなんども、強く強く。

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