2008年2月28日木曜日

14 時間の交差

雨は、降り続いていた。
三日目になる。
彼氏の悟との約束の時間が近づいている。
沙織は、家を出て、雨に濡れたくなかった。
ベッドの上でごろごろしている。
いつの間にか、眠りに落ちていた。
ノックの音で目を覚ます。
時計を見ると、約束の時間を二時間も過ぎていた。
飛び起きた。
きっと、悟が遅いので部屋に来たのだと思った。
ドアに急いでゆき、開けるなり、誤った。
顔をあげて、驚いた。
見知らぬ男が立っていた。
男は、何も言わずに、沙織を部屋の中に押し込んだ。
後ろ手で鍵を閉める。
沙織の口を押さえつけ、部屋の奥へと引きずっていく。
男のすばやさに、声を出すこともせず、ただ、されるがままになっていた。
男は、ポケットから出した布テープで沙織の口をふさぎ、手足をテープでぐるぐる巻きにした。
ベッドに沙織を押し倒す。
男は、一言も声を発していない。
男は、台所から、包丁を持ってきた。
沙織は、殺されることを確信した。
男は、沙織には、見向きもせず、壁の前に立った。
白いクロスを張られた壁に包丁を突き刺す。
壁紙をはがす。
壁紙のしたの板もこわす。
中から何やらやわらかい長いものを引きずりだした。
それを、男がもってきた黒いカバンに大事そうにしまう。
男は、壁に何かつぶやくと壊された壁が元通りになった。
沙織に、振り向き、何かをつぶやいた。
沙織は、意識が遠のいてゆく。
意識が完全になくなる前に男の顔がニタリと笑うのが見えた。
ドアの音で目が覚めた。
時計を見る。
悟との約束の時間を二時間も過ぎている。
ドアへと急ぎ、開ける。
悟が、怒った顔をして立っていた。
沙織は、謝る。
沙織は、謝りながら、何かを忘れたような気がしていた。
部屋には、男の姿はなかった。

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