雨は、降り続いていた。
三日目になる。
彼氏の悟との約束の時間が近づいている。
沙織は、家を出て、雨に濡れたくなかった。
ベッドの上でごろごろしている。
いつの間にか、眠りに落ちていた。
ノックの音で目を覚ます。
時計を見ると、約束の時間を二時間も過ぎていた。
飛び起きた。
きっと、悟が遅いので部屋に来たのだと思った。
ドアに急いでゆき、開けるなり、誤った。
顔をあげて、驚いた。
見知らぬ男が立っていた。
男は、何も言わずに、沙織を部屋の中に押し込んだ。
後ろ手で鍵を閉める。
沙織の口を押さえつけ、部屋の奥へと引きずっていく。
男のすばやさに、声を出すこともせず、ただ、されるがままになっていた。
男は、ポケットから出した布テープで沙織の口をふさぎ、手足をテープでぐるぐる巻きにした。
ベッドに沙織を押し倒す。
男は、一言も声を発していない。
男は、台所から、包丁を持ってきた。
沙織は、殺されることを確信した。
男は、沙織には、見向きもせず、壁の前に立った。
白いクロスを張られた壁に包丁を突き刺す。
壁紙をはがす。
壁紙のしたの板もこわす。
中から何やらやわらかい長いものを引きずりだした。
それを、男がもってきた黒いカバンに大事そうにしまう。
男は、壁に何かつぶやくと壊された壁が元通りになった。
沙織に、振り向き、何かをつぶやいた。
沙織は、意識が遠のいてゆく。
意識が完全になくなる前に男の顔がニタリと笑うのが見えた。
ドアの音で目が覚めた。
時計を見る。
悟との約束の時間を二時間も過ぎている。
ドアへと急ぎ、開ける。
悟が、怒った顔をして立っていた。
沙織は、謝る。
沙織は、謝りながら、何かを忘れたような気がしていた。
部屋には、男の姿はなかった。
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