男は、部屋に戻ってきた。
忘れ物をしてしまった。
急いでドアを開けて、駆け込んだ。
そこには、いつもの部屋は、なかった。
大きな穴が口をあけていた。
洞穴だ。
男はビックリして、固まったように動かなくなった。
男は、戻ろうと後ろを振り向いた。
そこには、今、入ってきた。ドアはなかった。
後ろにも、穴が続いていた。
男は、洞窟の真ん中にいた。
男は、混乱していた。
何が起きているのか、理解できなかった。
洞窟は、真っ暗ではなく、どういうわけかぼんやりとした明るさを保っていた。
洞窟の中を小さな水の流れがあった。
男は、水の流れていくほうへ歩き始めた。
ゆっくりゆっくり。
男の足音が洞窟の中に響いている。
数百メートル歩いたころ、蛇が壁のへこみの中にいた。
蛇は、男に言った。
「まだまだだよ」
蛇自体に驚くのではなく、喋ったことに驚いている男。
男は、蛇が言ったことが何がまだまだなのかと訊いたが蛇は何も言わず壁の穴の中に入っていった。
男は、歩き続けた。
しばらく、歩くとカニが水の中から顔を出した。
「まだだよ」
カニも蛇と同じこと言うと水の中にもぐってしまった。
男は、歩く。
しばらく行くと、こうもりがいた。
「後、少しだよ」
そういうとこうもりはどこかにとんでいった。
男は、歩き続ける。
男の体が突然、下に空いた穴に落ちた。
男が気づくと男は、自分の部屋の玄関にいた。
男は、忘れた書類をとりに部屋の奥へと入っていった。
急いで書類をかばんに入れると、部屋をあわてながら出て行った。
男は、洞窟のことは、何も覚えていなかった。
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