2008年2月28日木曜日

11 ピエロは泣いていた。

ピエロは泣いていた。
踊っていた。
「ママ、あのピエロさん、泣いてるよ」
手を引かれている小さな女の子がピエロを指差している。
「ああいうお面なのよ。さあ、行くわよ」
母親は忙しそうに子供の手を引っ張っていく。
ピエロは、悔いていた。
自分の罪深さを悔いていた。
自分の言葉があの人を死に追いやった。
自分の一言が、あれほど、傷つけるとは考えもしなかった。
勢いで、言ってしまった。
悔いても、取り返しがつかない。
ピエロは、踊った。
彼の好きだった子供たちを喜ばせるために。
ピエロになって人びとを幸せにするのが夢だった彼の代わりにピエロは、踊り続けた。

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